短編・メフィスト学園版<まだらの紐>
882 名前: 名無しのオプ 投稿日: 04/01/06 21:04

 新刊の書けない津村は編集者の提案により、ホテルの一室に閉じこもり執筆作業を行っていた。
(厳密にいえば、新刊を書いても刊行できないだが)
津村「ここでやらなきゃ、男がすたる。そして何より隊長に顔向けできない」
 とはいうものの、遅々として筆は進まず、一人悶々と一日を過ごしてしまう。
津村「とりあえず今日は寝て、また明日続けるとしよう」

 そしてその晩、津村が寝付いてからしばらくたって・・・
 津村は突然、目を覚ました。首に何かが巻きついている!
 不覚を取った。いくらホテルの中とはいえ、熟睡してしまうとは。
 首に巻きついているものに、だんだんと力が込められてゆく。
 このままやられては「紳士倶楽部(仮)」隊員の名がすたる。
 津村は全身の力をこめ、首にまとわりついているものからなんとか逃れる。
 助かったか・・・そうだ、明かりを!
 津村が部屋の明かりを付けた時、部屋には人はおろか何も見当たらなかった・・・

883 名前: 名無しのオプ 投稿日: 04/01/06 21:08

 夜が明けた後、津村は深夜の奇妙な出来事の検討を始めた。
 この部屋はホテルの7階。ベランダはなく、はめごろしの窓。
 ホテルのドアの鍵は内側から閉められている。
 ただし小さな通風孔が部屋の上部に空いており、両隣とつながっているようであった。
 人が出入りした形跡はない。とするとこの通風孔を利用して・・・
 すると、津村は床に落ちている一本の体毛を発見する。
 その体毛は髪の毛のようである。なぜならば、とても長く・・・
 まさか!
 津村はドアを開け、隣の部屋の様子をうかがおうと廊下に出る。
 するとそこで、

津村「西尾!」
西尾「あれ、津村さんじゃないですか。ひょっとして津村さんも缶詰ですか」

884 名前: 名無しのオプ 投稿日: 04/01/06 23:44
一発目キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
流水の悪寒・・・w首絞めの理由が気になる
885 名前: 名無しのオプ 投稿日: 04/01/07 21:53

 津村は西尾に深夜の事件の事を話す。
西尾「ええ、そうです津村さんの予想通り、隣の部屋にいるのは御大です」
津村「やはり」
 西尾は御大に差し入れを渡すためにやってきたのだった。

西尾「たぶん、夜中に御大の髪の毛がかってに伸びて、津村さんの部屋に入り込んだのでしょう」
津村「ミステリーというより、もうほとんどホラーの世界だな」
西尾「御大のことですから悪意があったわけではなく偶然首に絡まったんだと思いますよ」
津村「いくら悪意がないからといっても、こっちは死ぬところだったぞ」
西尾「勘弁してあげてください。御大もようやく彩門家の追い込みに入ったみたいですから」

 津村は納得がいかないものの、ここで清涼院に何かいったところでどうなるわけでもない。
 これは運が悪いと思ってあきらめるしかないだろう。

津村「しかしこの短編のタイトル、<まだらの紐>となってるけど、“まだら”は関係ないんじゃないか」
西尾「あぁ、それなら執筆に追い込まれた御大の顔が“まだら”模様になってるんですよ」
津村「うそ!」

886 名前: 名無しのオプ 投稿日: 04/01/07 21:54

短編・メフィスト学園版<まだらの紐> 後日談

 津村は今回のこの話を小説として執筆することにした。
 完成した後、編集者に渡したら・・・やはり没になった。
 2004年こそ、良い年でありますように。津村はそう祈った。

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