大戦闘の後でへたりこんでいた冒険者達は長い休憩の後、その場を立ち去ることに。
イシン「とりあえずここから出ましょう」
乾「そうだな」

冒険者達はイシンの戯言によって、一瞬で“竜水の城”から脱出した。
コウジ「で、これからどうするんだ」
乾「そうだな、一応“ローレンシアの城”へ報告しにいったほうがいいのかな」
ちなみにローレンシアの城とは乾が最初に旅立った場所である。
イシン「そうですね。まずゲーデル号まで戻って、それから皆で帰りましょう」
乾「よし、ローレンシアの城に帰るぞー」

イシン「・・・・・・ところで何か大事なことを忘れてませんでしたっけ」
乾「何か、大切なことをいくつも忘れているような気がするけど・・・・・・」
コウジ「気にしない、気にしない、さっさと帰ろうぜ」

一行はいよいよローレンシアに帰還することに。


ローレンシア城付近でゲーデル号から上陸する冒険者一行。
乾「いや、帰ってくるのに手間取ったな」
イシン「お世話になった人への報告であちこちまわってましたからね」
コウジ「さぞかし歓待してくれるかと思ったら、そうでもなかったな」
イシン「まだ我々が“竜水”を倒したということが広まってないんでしょう」
乾「ローレンシアに報告して、初めて俺達が倒したことが認められるわけか」
コウジ「それなら、さっさと報告してパーティー、パーティー」
イシン「でも、妙な噂を聞いたんですけど・・・」
乾「妙な噂って?」
イシン「ローレンシア、サマルトリア、ムーンブルクではすでに大規模な宴が行われているとか」
コウジ「それって、俺達の歓迎の準備ができてるってことじゃないのか!」
イシン「そうでしょうか?」
コウジ「そうだよ、そうだよ。ほら、さっさと城に行こうぜ」

一行は急いでローレンシアの城へと向かう。


ローレンシアではすでに宴が始まっていた。
町は平和になった世界を祝い、喜びに明け暮れていた。
町の人たちは歌い、踊り、歓喜にあふれ、こころから笑っていた。

そして、いよいよ勇者のパレードが始まり、町の人たちが大勢つめかけた。
「あ、勇者様が来たぞ!」

馬車の上で人々に手を振り、得意げに笑っているのは・・・・・・
「キリシャ王子ばんざーい!」
「シーナ王女ばんざーい!」
「サマルトリアのキリシャ王子、ありがとう」

そう、馬車に乗っているのはキリシャ王子とシーナ王女の二人であった。
それを影から見ている冒険者一行。

コウジ「・・・・・・おいおい、どういうことだよ」
イシン「あのキリシャ王子が手に持っているものを見てください」
コウジ「うん? あれは勇者の証じゃねぇか!」
イシン「たぶん、王子が再生した後に、あの場所で見つけたんでしょう」
コウジ「それで、竜水を倒したと思い込んでいる王子が城へ報告したってわけか」
イシン「えぇ。たぶんシーナ王女を助けた後で、我々より先に戻ってきたのでしょう」
コウジ「おいおい、イヌイ、どうすんだよ、これ」

乾は下を向いて、小刻みに震えていた。
イシン「どうしました? 勇者殿」
コウジ「どうした? くやしくて、泣いてるのか」
乾はとうとうこらえきれなくなり、
乾「ハハハハハハハハハハハハハハ」
イシン「笑ってる?」
コウジ「ついにおかしくなったか?」
乾「ハハハハハ、馬鹿馬鹿しい、ハハハハハ」
イシン「・・・・・・・」
コウジ「・・・・・・・」
乾「ハハハハハハハハハハハハハ」
イシン「そうですね、ハハハハハハ」
コウジ「そうだな、ハハハハハハ」
カジュー「フフフフフ」
乾「カジューまで笑ってるよ、ハハハハハ」

何やら、ツボに入ったようでずっと笑い転げる一行であった。


乾「あーあ、おかしかった」
コウジ「ハハハ、確かに馬鹿馬鹿しい話だな」
イシン「そうですね。ところで・・・」
乾「?」
イシン「これからどうします?」
乾「いくら竜水を倒したからといって、困っている人はいくらでもいると思わないか」
一同「・・・・・・」
乾「だったら、そういう人を探して助けてやればいいじゃないか」
イシン「そうですね。世界はまだまだ広いはずですよね」
カジュー「私もまだまだ修行が必要だ」
コウジ「俺も暇だからついていこうかな」

乾「行くか?」
イシン「行きましょう」
カジュー「うむ」
コウジ「行こうぜ」

乾「よし、行こうぜ! 次の冒険へ」


彼らはゲーデル号に乗り、新たなる冒険を目指す。
その後、彼らの姿を見たものはなく、どこへ行ったのかは誰も知らない。
別の世界へ渡ったとか、天空へと登ったなどという噂が聞かれたこともあった。
実際、そのどこかで彼らは冒険を続けているのだろう。
そして、それはまた別の話として語り継がれることになるのかもしれない。

竜水を倒したのはキリシャ王子ということになってしまったが、
彼らの活躍を知るものによって、真の物語はちゃんと受け継がれていた。
竜水を倒した真の勇者の名は“イヌイ”と、

『“勇者イヌイ”よ永遠なれ』



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