175 名前: 1/3 投稿日: 03/06/26 10:42

綾辻「……」
法月「綾辻さん、何悩んでるんですか?」
我孫子「法月君に心配されるようじゃおしまいやね。館シリーズに使うアイデアでも考えてるんですか? そういや、夏合宿用の館を綾辻先生に用意してもらおう、なんて話も」
綾辻「それを言わないでくれよ……(溜息)」
法月「綾辻さんがそんなふうじゃ、生徒に示しがつきませんよ。読んだでしょ、北山君の『アリス・ミラー城』」
我孫子「館シリーズならぬ城シリーズか。下手すると講談社ノベルズの看板シリーズを取られるってことにもなりかねへんなあ」
法月「笑い事じゃありませんよ。新本格第一世代としては、是非綾辻さんに頑張ってもらわないと」
我孫子「法月君、他力本願って言葉知ってるか?」
綾辻「二人とも少しは黙って……そうだ!」
法月「なにかいいアイデアでも思いついたんですか?」
綾辻「ああ、これで次の館はバッチリだ!」
176 名前: 2/3 投稿日: 03/06/26 10:46

綾辻「ああ、北山君」
北山「あ、綾辻先生。何ですか?」
綾辻「君を見込んでちょっと頼みがあるんだけど。暗黒館の次の館で使うトリックを思いついたんだ。メインじゃなくて、君の好きな物理トリックの方なんだけどね」
北山「ぶ、物理トリックですか!?」
綾辻「うん。それで良かったら、君にそれを検証してほしいんだ。引き受けてもらえるかな」
北山「はっはい! もちろん! 是非やらせてください!」
綾辻「ああ、よだれはちゃんと拭いて。じゃあ放課後、ちょっとそこの教室に来てもらえるかな。仕掛けを作るのに時間がかかるから。いいかい、君だけに見せるんだからね。絶対に一人で来るんだよ、いいね」
177 名前: 3/3 投稿日: 03/06/26 10:48

(放課後)

北山「綾辻先生の物理トリックかあ……(うっとり)一体どんなんだろう。ふふ、楽しみだなあ。……ああ、ここだ。入りますよー、綾辻先生。あれ? 物理トリックは?」

 パシャン。

北山「え?」
 北山の背後で教室の扉が閉まった。
北山「あれ、開かないや……綾辻先生? ねえ、開けてくださいよ、綾辻先生! 綾辻先生!?」

法月「これで教室を密閉、っと」
綾辻「ふっふっふ、物理トリックを餌に獲物をおびき寄せる、これぞ北山ホイホイ! あとは彼に、次の城のアイデアを吐かせれば──」
我孫子「思いついたアイデアって、これやったんですか(泣)」

178 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/06/26 15:41

綾辻達の企みは順調かと思われた。
しかし北山を捕らえたまさにその瞬間、一人の生徒が目撃していた。

日明「まだ帰らないの? ぼーっとして。また男と男の変な夢でも見たのね」
高里「夢じゃないわ。あんな凄いこと……あ、駄目。言いたいけど言えない」
日明(な、何よこの子。意味深に頬を赤らめちゃって。何があったのかしら。
   美人秘書である私を差し置いて、そんなに興奮するような出来事が?)
高里「実は私、さっき、空き教室で……」
日明「き、聞きたくないわっ!! 不潔よっ!!」
何を妄想したのか、激しく取り乱した日明は最後まで聞かずに走り去った。
高里はドキドキする胸を両手で抑えて、そっとため息を吐く。
高里「やっぱり黙っていようっと。綾辻先生と北山君の禁断の逢引きのことは。
   ちょっと危険な雰囲気だったけど、あれをきっと監禁愛って言うのよね。
   人の恋路を邪魔しちゃいけないわ……」

というわけで、北山ホイホイはまだ順調だった。

179 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/06/27 13:58

放課後、幾人かが誘い合って小路の歓迎会を催していた。
最初の乾杯を済ませたところで、浅暮が学園方向へ鼻をひくつかせる。

浅暮「ふむ、陰謀の臭いがするな」
石崎「陰毛に臭いなんてあるのか?」
浅暮「綾辻先生の悲哀を感じる……」
石崎「綾辻先生は陰毛まで寂しいのか。気の毒だな」
乾 「どこからつっこめばいいんだよ!! ていうか変な想像させるな!!」
霧舎「アーヤのパイパン……高里さんがこの場にいれば喜んだかな……」
蘇部「ねえねえ、綾辻先生はパイパンっていう病気で悩んでるの?」
殊能「君が気にすることじゃないさ。それよりこの唐揚げ美味しいよ」
浅暮「……北山らしき奴の困惑も感じ取れるなあ。さほどの危機感はないが」
高田「そういえば彼、来てませんね。ひねくれ者の誰かさん達と違って、
   こういう場はちゃんと出てくる人だと思ってましたが」
石崎「つまり話を総合すると、北山は綾辻先生の陰毛を植毛させられている、と」
乾 「どこをどうしたらそんな推理になるんだよ!!」
小路「みなさん仲がよいですねえ。あ、店員さん。豚キムチ炒めお願いします」

その後、何故か臭いのきつい料理ばかりが注文され、いい加減酒も回り、
浅暮達は学園から漂ってきた陰謀の臭いを忘れていった。

180 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/06/29 16:23

北山「僕はどうなっちゃうんでしょう」
181 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/06/29 18:28
二重の放置プレイなわけだ
182 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/06/29 19:47

北山「本当なんですよう、アリスミラーに全部つぎ込んじゃってアイデアなんてもうこれっぽっちも残ってないんですから」
法月「綾辻さん、もうやめにしません? 生徒からネタを脅し取るなんて」
綾辻「そうだなあ、こっちもいいかげん疲れてきたし」
北山「放してくれるんですか?」

 綾辻がくるりと背中を向ける。

綾辻「ちょっと休憩」
北山「そんなあああ!」

 北山の声を背に、綾辻は空き教室を出た。すると。

??「ああっ綾辻先生、どいてください、どいて、どいて――!」
綾辻「――!」

 綾辻がよけるやいなや、人影が猛スピードで壁に激突する。
 インラインスケートを履いた黒田だった。

黒田「ああ良かった。探してたんですよ、綾辻先生」
綾辻「(まさかこいつ、北山のことを……?)どうした黒田君、廊下でインラインは禁止のはずだろう」
黒田「大目に見てくださいよお、この時期外で滑るとアマガエル踏み潰しちゃってたいへんなんですから。そのかわり」

 黒田がごそごそと茶封筒を取り出した。

184 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/06/29 20:45
ぶははは、久々に爆笑させてもろた(藁

185 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/07/01 06:27
>183
くろけんなら本当にそのタイトルで書きそう >イヤンバ館

186 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/07/01 13:38
>185
『 イヤンバ館 』でぐぐってみそ。

187 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/07/01 21:04
>186
見てきた。笑った。

188 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/07/02 00:40
マジで書いていたのか
くろけん恐るべし!

189 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/07/02 20:39
あーやっと意味分かった(藁

190 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/07/02 23:57
黒田研二ブレイクの予感?

191 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/07/03 00:07
奴はブレイクなどしない。

192 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/07/03 00:40
むしろブレイクする。

193 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/07/03 00:54
なんか知らんが、黒田はいつも楽しそうでいいな。
悪い奴じゃなさそう。

黒田になりたいとは思わないけど。

194 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/07/03 02:18
くろけんはそのうちひっそりと傑作を書いてくれそうな気がする

195 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/07/03 13:08
そう言われると、もう既にひっそりと書かれていそうな気がする罠。

196 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/07/03 13:21
しかし黒田はいかんせん文章力が……ゴニョゴニョ。
このままじゃ雑談スレだ。職人カモン〜。

183 名前: 2/2 投稿日: 03/06/29 19:49

綾辻「それは?」
黒田「やだなあ忘れたんですか? 以前掲示板に出てたでしょ、YAKATAトリビュートって。以前書いたやつをリライトしてみたんですけど」
綾辻「……いいのかい? 使わせてもらって」
黒田「メフィストの生徒の中でも一、二を争う受験回数を誇る僕ですよ。受験前に書きためたネタが腐るほどありますからね」
綾辻「じゃあ、早速見せてもらうよ」

 綾辻がいそいそと封筒を開ける。
 表紙に黒々と書かれた、そのタイトルは――

『イヤンバ館の殺人』

綾辻「……」

 ビリッ

黒田「ああっ何するんですかっ、綾辻先生!」

197 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/07/03 18:24

黒田「僕についての雑談はこちらでで話してくださいな。
   [黒田研二ペルソナ探偵
   カキコミえらく少ないんでよろしくぅ!!(半泣き」
北山「半泣きって・・・・・・」
199 名前: 名無しのオプ [sage] 投稿日: 03/07/03 22:14

『七人の迷える騎士』関田 涙
美少女探偵、ミスコンの惨劇に立ち向かう!
学園祭のミスコン会場が戦慄の殺人現場に。(以下略)

乾「女子高生探偵だけに飽きたらずミスコン…お前も好きだな」
関田「え。いや、一応『惨劇』がついてるんですけど…」
石崎「照れなくてもいいぞ、なみへい。俺たちはやっぱり仲間なんだなー」
関田「一体何の仲間ですか…」
霧舎「ねえ、このミスコンに水着審査はあるの?」
関田「………」
佐藤「……へえ。で、今回も姉萌え?」
関田(何で佐藤さんまで…)

200 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/07/04 17:31
>>199
ワロタ(w
みんな良いキャラしてるなあ。

とかいいつつ200(σ・∀・)σゲッツ!! 

201 名前: 名無しのオプ [sage] 投稿日: 03/07/05 14:23

殊能「日本って、月と日がゾロ目だと何か特別な日だったりするよね」
生垣「一月一日はお正月だな。まあ、この日は日本以外でもフェスティバルだろう」
蘇部「二月二日は節分だよ。年の数だけ豆を食べるんだ」
殊能「三月三日は雛祭り」
生垣「四月四日…向こうじゃイースターだが、こっちは何かあるのかい?」
蘇部「えーとね、三月の桃の節句と五月の端午の節句の間だから、
   『オカマの日』なんて言うことがあるよ」
殊能「誰が言い出したのか知らないけど、面白いね。で、蘇部君が今言った通り、五月五日は子供の日」
生垣「六月六日…黙示録じゃ『666』は忌み嫌われる数で、それがモチーフの映画もあったな」
蘇部「うーん、特に何の日とか言わないね。……あ、雨ザーザー?」
殊能「一月ぐらい何もなくても良いかな。気を取り直して、七月七日は…」
古処「七月七日、小説すばるにて連載中なのである。ヨロスク」
殊能「…七月七日は、七夕だね」
生垣「年に一度しか会えない男女…フム、悲しくもロマンチックだ。
   さてそれで、八月八日は何の日なのかな、蘇部?」

蘇部「勿論、僕らの京極先生待望の新刊、『オンモラキのヒマ』の発売日だよ!」

石崎「蘇部、ヒマじゃなくてキズだぞ。漢字似てるけど。それじゃ宣伝にならないだろー」
乾「ていうか前フリなげえよ!」

202 名前: 名無しのオプ [sage] 投稿日: 03/07/05 16:19

霧舎「あれ、節分って二月三日だったような…」
高田「確かに最近は三日に節分がくることが多いね。」
霧舎「あ、高田君…。」
高田「でも年によっては二日だったり四日だったりすることもあるんだよ。
   節分というのは立春・立夏・立秋・立冬の前日のことをいうからね、
   これらの日にちによって節分の日にちも変わるということさ。」
霧舎「へ、へぇ、そうなんだ。」
高田「ちなみに一般には単に「節分」といえば春の節分を指すものとなっているね。
   これは立春が一年の初めと考えられることから、その前日である
   春の節分を最も重視しているからで……(略)」
霧舎「え、えっと…」
高田「(略)……だが節分とは本来そんな呑気な行事だはないんだ。
   騙りと言ってもいいね。節分に限らず、日本の行事は裏の顔を持つものが多い。
   例えば正月は……(略)」   
霧舎(高田君…話が長いよ…)
203 名前: 名無しのオプ [sage] 投稿日: 03/07/05 18:10
ああ、節分は二月二日じゃなかったっけ。しまった。
204 名前: 名無しのオプ [sage] 投稿日: 03/07/06 02:58

霧舎「やれやれ。とんだ目にあったよ」
関田「高田さんって京極先生並みに薀蓄が得意なんですね」
石崎「あとは酒とクスリだな」
生垣「ヒュウ! 意外にもダーティーなんだね」
新堂「ああいう奴に限って裏の顔を持つものさ」
小路「人は見かけによらないんですねぇ」
乾 「ああほら、誰かさんが誤解を生む言い方するから!」
205 名前: 1/3 [sage] 投稿日: 03/07/06 23:02

綾辻「全く最近は、館の美学を解さない若者が多くて困る……あれ?」

   教室に戻ろうとして、綾辻は小柄な人影を見つけた。
 氷川が分厚い紙の束を抱え、きょろきょろとあたりを見回している。

綾辻「あーコホン。氷川君、ひょっとして君も、YAKATAトリビュートに応募しに来たのかな?」
氷川「あいえ、僕はそういう芸風じゃありませんから。それより、法月先生知りませんか?」
綾辻「(ちっ、法月信者かよ……)彼に何か用かい?」
氷川「レポートを見てもらう約束をしてたんですけど。こんなことなら、小路君の歓迎会についていけばよかったかなあ……」
法月「いやあごめんごめん、悪かったね。ちょっと野暮用で」

 声を聞きつけた法月が、氷川の手からレポートを取り上げる。
 そして読み始めた。

206 名前: 2/3 [sage] 投稿日: 03/07/06 23:05

綾辻「野暮用ってねえ君、仮にも先輩に向かってだな」
法月「……」
綾辻「っておい法月君、聞いてないだろ」
法月「……」
我孫子「ああっ綾辻さん、なんで止めへんのですか!」

 飛び出してきたのは我孫子だった。

綾辻「どうしたんだい我孫子君、そんなに慌てて」
我孫子「なにすっとぼけたことゆうとるんですか! 氷川透が法月綸太郎に見せるレポートゆうたら、あれしかないでしょう!」

 あれ。
 綾辻の脳裏を嫌な予感が掠めた。

綾辻「氷川君、一体これは何についてのレポートなのかな?」
氷川「後期クイーン問題ですけど」
我孫子「やっぱりぃぃ!」

207 名前: 3/3 [sage] 投稿日: 03/07/06 23:15

法月「……どんな形式的体系も、それが無矛盾である限り、不完全である……」

 法月の声が響いた。
 さながら終末を告げる、黙示録の天使の喇叭のように。

  法月「すなわち探偵が、唯一無二の真相に辿り着く事は絶対に不可能である……ふ、ふふふ」
綾辻「なっ、なんなんだ一体!」
氷川「ゲーデルの不完全性定理ですね」
我孫子「そう言う問題と違う! ……って綾辻さん、なんで人を盾にしてんですか!」
綾辻「いいだろ、君はろくに小説の仕事してないんだから! 僕にはまだ暗黒館の連載が――うぎゃああああ」

 悲鳴、長い静寂――そして。

氷川「あれ北山君、どうしたんですかこんな所で」
北山「ひっ氷川君! 助けにきてくれたんだね!」
氷川「助けに……? なんだかよくわかりませんけど、みんなは居酒屋ですよ。小路君の歓迎会だそうです。行きませんか?」
北山「う、うんっ!」

 その後綾辻たちと暗黒館がどうなったのかは、誰も知らない。

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