43 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/18 23:37

「い、一緒にとんかつ定食を食べにいかない? こんな感じかな。
いやとんかつ定食と限定するのもなんか変か、お昼一緒にどう?」
 午前の授業が終了し、それぞれが昼食にかかろというとき、蘇部健一は一人で呼びかけの練習をしていた。
「アンちゃん、どう思う?」
 と、蘇部はあごを引いて胸元に声をおとす。「アンちゃん」とは、彼の胸ポケットから顔を覗かせるているダルメシアンのぬいぐるみのことだ。
(『木乃伊男』著者近影より)
「え、大丈夫だって? きっとうまくいく? うん、そうだね」
 うなずくと意を決し、蘇部はお目当ての相手の方を見た。
 ――殊能くん。僕と君との接点は、ただメフィスト学園の生徒であるという、ただそれだけかもしれない。いや、それはつい先日までの話。
そう、今では『ハサミ男』の殊能、『木乃伊男』の蘇部と呼ばれる仲だと言えるだろう。誰が認めなくても、僕が認める。え、アンちゃん、君も認めてくれるかい? 嬉しいよ。
 同じクラスには『バット男』の舞城がいるが、そちらは少々怖いのでとりあえずは後回しにする。いずれ蘇部は『脳男』の首藤瓜於ともコンタクトを取るつもりだった。
 しかし今は、まず殊能だ。
 蘇部は、殊能のもとへと歩き出した。
44 名前:名無しのオプ
アンちゃんイイ!
45 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/19 00:48

殊能「トンカツ? あそこの店の油は良くないよ。
    それより、秋鮭のマスタードソース、食べに来ない?
    自分以外の人の感想も聞いてみたいんだ」
46 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/19 01:49

舞城「……美味そうだな」
殊能「あ、君も来る? 大勢の方が作りがいあるし」
(こ、こんなにも早く接触がうまくいくなんて。これはもうトリオ結成するしか!)
突然の展開に頬を紅潮させる蘇部に、舞城が冷たい一瞥をくれる。
舞城「なんかゴミついてるぞ。おらよ」
(あ、僕の可愛いアンちゃんがッ!!)
ゴミ箱に投げ込まれたアンちゃんを見て、殊能がプッと噴き出す。
殊能「なにアレ。呪い人形かな。きっと嫌がらせだね。気をつけなよ、蘇部君」
蘇部「お、お、お前ら……トリオはもう解散だぁーーーッ!!」
アンちゃんをひしと抱き締めて、蘇部は泣きながら立ち去った。
47 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/19 01:51

浦賀「首藤瓜於の『脳男』か……じゅる」
黒田「男よりも娘。の方がいいよ、ハァハァ」
高里「やっぱり、男×男よね、ハァハァ」
48 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/19 02:46

黒田「俺は乱歩賞のパーティに行ったぞ!」
蘇部「……いいなあ(首藤くん――)
氷川(覆面だから行けない……)
高里(呼ばれない……)
森「パーティは嫌いです」
殊能「どんな料理が出たのかなあ」
浅暮「酒呑みに行けばよかったな」
49 名前:名無しのオプ
このスレ最高(w
50 名前:手紙投稿日:02/09/19 20:57

送ってくれた新刊読みました。とても面白かったです。
巷の評判も上々のようで、私たちも鼻が高いです。
でも、今度からは本を贈ってくれなくてもいいですよ。
だって、隣近所、親戚一同に贈るつもりでお父さんったら、五十冊も注文してるんですもの。

忙しいでしょうが、たまには顔を見せに帰ってきてください。
おまえの大好物、「とんかつ」を作って待っています。

母より

51 名前:名無しのオプ
>>50
。・゚・(ノД`)・゚・。

52 名前:名無しのオプ
>>50
その手紙を間違っても舞城君に見せてはいけません。

54 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/19 21:31

 蘇部は落ち込んでいた。 
 殊能と仲良くなれそうになったら、舞城にアンちゃんを捨てられ、失敗に終わった。
 それだけならまだいい、舞城の暴力男はは別として、殊能までもがアンちゃんを馬鹿にしたのだ。
「結局みんな、俺のこと、キライなんだろー! みんなの馬鹿ヤロー! ……でも、アンちゃんは違うよね、うん。ボクの友達はアンちゃんだけだよ」
 もうこの学園ではやっていけないかもしれない。
「かといって他に行く当てがあるわけでもないし……」
 作家としての将来に迷い始めた蘇部。そんな時、母からの手紙が届いた。

「かぁちゃーん! かあちゃんのとんかつ食いたいよ」
 笠井に「ゴミ」と言われた時とは違った涙が、蘇部の眼から滝のように流れ落ちた。
「いつか、いつか俺の印税で、かあちゃんに最高のとんかつを食わせてやるよ!」
 決意を新たにする蘇部は、そんな彼を陰から見て嘲笑っている人物がいるとは知らなかった。

55 名前:名無しのオプ
>>54→>>53だな。
53 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/19 21:29

>50 見ちゃった。
舞城「ぬるい……ぬるいんだよお前はよぉ。いい年して家族とじゃれてんじゃねぇ!」
手紙が速攻奪われ、一瞬にして紙ふぶきと化す。
蘇部「ああっ。僕の心の支えが!」
舞城「支えられなきゃやってらんねぇようなら学園やめちまいな。油臭いんだよ!」
蘇部「ふ、ふん。う、羨ましいんだろう。僕の心優しい家族の存在がっ」
舞城「…………!!」
空気が一変する。蘇部の精一杯の虚勢が、舞城の地雷を踏んでしまった。
(やばい、殺される……。アンちゃん僕を守って!!) 
57 名前:名無しのオプ
53→56ね。

58 名前:54
54を書いてる途中で53が書き込まれたみたいっす。
54(50を挟んで)53→56だとまとまるか。
54のメル欄は、森が蘇部を利用してヤッカイな舞城の弱点を知るってことでいいのかな?

59 名前:名無しのオプ
佐藤の次は蘇部か!
>53 油臭いって……トンカツ臭?

60 名前:名無しのオプ
>>59
(・∀・)ソレダ!

56 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/19 21:49

舞城はいつのまにか持っていた釘バットを振り下ろし、
……寸前で止まった。何かの気配いや匂いに気を取られて。

殊能「あ、君達。余ったんだけど、これ食べない? いや実は僕家庭科部なんだけど」
それは殊能が調理室で作ったジンジャークッキーだった。できたてのほやほやである。
舞城は気が削がれたらしく、一枚口にくわえて無言のまま立ち去った。
蘇部「ああ、助かった。きっとアンちゃんが僕の危機を伝えてくれたんだね!!」
感動のあまり殊能に抱きつき、蘇部は殴り倒された。

その一部始終を森は影から見ていた。メモを片手ににっこりと微笑んでいる。
森「なるほど、舞城君をコントロールするには餌付けが有効なのですね(笑)」

64 名前:Sの悲劇投稿日:02/09/21 10:57

蘇部「森くん、僕もホームページが欲しいんだ」
森「それはそれは(笑)。森も、トンカツとか揚げてみたいんです(にこにこ)」
殊能「なんだ。ホームページを作って欲しいなら、そう言えよ。俺が作ってやる」
蘇部「殊能くん・・・(涙)」
殊能「ホームページなんて簡単だぜ。ほら。(カチャカチャカチャ)じゃあな」
”Welcome to SOBE Kenichi official site”
蘇部「殊能くん・・・(号泣)」
65 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/21 11:27

森「よかったらこの卵焼きもどうぞ。だしがきいてますよ」
舞城「おう。悪いな」
昼。森が「パンだけではお腹すくでしょう(笑)」と舞城を呼び止め、弁当のおかずを分け与えてきた。 舞城は(こいつ俺が怖くて媚びてやがる)と解釈し、素直に応じている。
その光景に、高里のやおいハートは破れんばかりに高鳴っていた。
殊能君もよく試食に誘ったりしてるし、ここにきて舞城モテモテだ。
(いかにも家庭に問題ありそうなところが男の庇護欲を誘うのかしら)
しかも佐藤までが舞城に物言いたげな視線を送っている。
(ハッ。ああ見えて舞城君て総受け? みんな彼を狙って競い合っているのね!?)
66 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/21 13:44

「聴いてよアンちゃん。殊能君がいまだに僕の名前間違えて憶えてるんだ」
アンちゃんを無精髭にこすりつけながら、蘇部はえぐえぐと泣いていた。
「それともわざとなのかなぁ。僕は苛められてるのかなぁ」
すると高里が背後から囁いた。
「ふふふ、それは好きな子ほど苛めたいという心理に違いないわ」
「じゃ、じゃあ僕は嫌われてるわけじゃないんだね?」
「むしろ彼の方からアプローチをしてくれてるんじゃない。蘇部君って鈍感ね」
「そうか……僕も罪な男だ。ごめんよ殊能君、君を疑ったりして……!」

(うふふ、今年は恋の予感でいっぱい。どのカップリングにしようか迷っちゃう)
高里のメフィスト学園ラブラブキューピット作戦が始まろうとしていた……。

69 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/22 02:19

「どうです、私の、火山を軸にした『古事記』の新解釈は?」
「ええ、卓見だと思います。とても興味深いですよ」
 新入りの石黒は京極と話していた。
「やは」
 そこへ、場違いな男が現れた。男は怪訝な顔をする二人に向けて、
「かけがえもないとかけまして〜、ミステリマニア必読の書ととく、そのこころは? 大説ゥ!!」
 ――清涼院流水だった。
「石黒氏、『死都日本』読みましたよ。超弩級のクライシスノベル! 東大教授の推薦文もついてましたね〜、でも、言ってくだされば僕も いーちゃんのときみたいなすてきなコピーを考えさせていただいたのに、いやぁ〜惜しいなぁ。そうだ!」
 流水は黒板に向かうと、白いチョークででかでかと、
「暗い死す述べる」と書いた。途端に興奮し出す流水。
「おおっ、これはイイ! どうです、石黒氏?」
 流水が振り返ると、そこに石黒の姿はなく、京極ともども、神話関係の話で盛りあがれそうな高田の方へと移動していた。
「ぼっ、僕を無視するなんて! くっ!!」
 再び黒板に向かった流水は、チョークが折れそうなくらい力任せに――
「石黒氏、乳黒し!」
 と書いた。そこへ通りかかった高里は、
「きゃっ、流水クン、見たことあるのかしら」
 と、一人で盛りあがっていた。
72 名前:名無しのオプ
>69
たいせつぅ
71 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/22 12:27

殊能「ホームページ、気に入ってくれた?Web日記を出版してミリオン行っちゃおう、なんて考えてるんだろ(笑)」
蘇部「うん・・・あ、いや。そんなこと(汗)」
(殊能くん、やっぱり悪気はないみたいだなあ。でも本当に僕のこと好きなのかなあ)
殊能「印税がっぽりもうかったら俺にもおごってくれよな」
蘇部「も、もちろんさ・・・いや、実はまだ何も・・・」
(名前が間違ってるHPなんて公開できないし)
殊能「なんだ、じゃあ日記のページも作ってあげるよ。(カチャカチャ)ほら」
蘇部「ありがとう。殊能くんて、いい人だなあ」
殊能「そんなことないって。君の日記、楽しみにしてるよ。
あ、そうだ。明日、うちの地区、ゴミの収集が休みなんだよ。 これ、捨てといてくれる?じゃあな」
蘇部「い、いいよ・・・」
大量の生ゴミを抱えて途方に暮れる蘇部であった。
(殊能くん、本当に(以下略))
76 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/23 01:37

高里「京極×森、清涼院×西尾、殊能×蘇部、大塚×佐藤……ここまでは間違いないわね」
日明「さっきから何ですか? 不気味な唸り声をあげて」
高里「見てわかるでしょ。メフィスト学園におけるカップリング表よ」
日明(やおいリストに続いてこの女は……)
高里「ねえねえ、舞城君って受けと攻めどっちだと思う? それともリバ?」
日明「ごめんなさい。言っていることがよくわからないわ」
高里「カマトトぶらないでよ、年増! これは大事な問題なのよ!」
日明「どこがどう大事なのよ、この処女! やおい女! 妄想狂!」
高里「あなたは舞城君を巡る森君と殊能君の愛と肉欲のトライアングルが気にならないの!?」
日明「えっ。森委員長ってそういう趣味の人なの?」
高里「ふん、何を今更」

日明(なんだ、ホモだから私を副委員長にするのを拒んだのね。変態ならしょうがないわ)
自分に見向きもしない男をホモと思い込むことで、日明の女としてのプライドは保たれた。

78 名前:名無しのオプ
重版童貞ユタヤソと永劫処女高里……

キ ャ ラ 立 ち す ぎ ( w

77 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/23 01:39

高里「日明さん! 何度言えばわかるの!? ホモとヤオイは別物なのよ!」
129 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/27 08:37

蘇部「殊能君、料理得意ですごいなあ。レシピ本だせばいいのに」

殊能「いやあ、僕のする料理なんて一人暮らしの簡単料理ばかりだから」
と、いいつつもまんざらでもない様子。

蘇部「いいじゃん、芸能人とかでも料理自慢な人がレシピ本とか出してるじゃん。菊川怜ちゃんとかさー」

殊能「・・・・(ひきつり)」

143 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/28 06:32

蘇部「うう、うああぁあん……」
殊能「どうしたんだい」
蘇部「あ、鮎川先生が、お亡くなりになって……うわぁん」
殊能「きみは鮎川先生に優しい言葉をかけてもらったんだったね」
蘇部「そう、笠井先生とは大違いだった」
 そこで蘇部は一冊の本を取り出した。
殊能「それは……『長野・上越新幹線四時間三十分の壁』だね」
蘇部「うん、鮎川先生は鉄道ミステリの祖だから……」
 蘇部は、ふところから出したライターで自分の著作に火をつける。
端をなめていた火が、やがてゆるゆると本全体をつつみ、熱さで持っていられなくなった蘇部は手をはなした。
蘇部「先生、安らかにお眠りください」
殊能「『りら荘事件』おもしろかったです」

 一方、物陰から蘇部と殊能を見守っていた高里は、冥福を祈りつつハァハァしていた……

144 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/28 10:01

舞城「なんだよサイレンがうるさいな」 
新堂「火事じゃねえのか? 家燃えて、金策に困ってるヤツいたらいいとこ紹介してやろうかな」
 消防車のサイレンはメフィスト学園に近づいてきた。
京極「誰だっ、学内で火を使ったヤツは!」



蘇部「……え?」
殊能「蘇部クン、やっぱり君にはシリアスは似合わないみたいだね」
181 名前:ある日の舞城日記投稿日:02/09/30 11:56

最近俺は面白くない。
なぜなら同県人の殊能がイカれたウルトラボケボケ大王の蘇部とつるんでいるからだ。
しゃべる言葉もスカしてやがる。どっからみても都会人。
しかも東京。オノレの日記の一人称も「私は〜」ときたもんだ。キャースゴイ。
おいそれはないんとちゃうかい殊能将之。てめえは福井の心を捨てたんか。
福井の土で生まれ育った俺たちの中にはドロのように熱くてうっとおしい血潮がながれているはず。
なにしろ俺は舞城王太郎。暴力とかわいらしさが平然と同居するスーパーキュートなヤツなんだぜ。
もどってこいやヘイカモン俺と熱く福井を語らんかい。
185 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/30 14:18

蘇部「舞城君が、君のしゃべりが福井らしくないってさみしがってるよ」
殊能「ほう、そうなのかい。彼の気に食わなくて残念だ。地元の心を捨ててるって?ハ、私はそんなつもりではないのだがね」
蘇部「あ、これありがとう。借りてた『I Love 宝塚』。きらびやかな世界だねえ。殊能くん、こーゆうのが好きなんだね」
殊能「まァね。気に入ったのならいつでも言ってくれ。遠慮はいらないさ。」
蘇部「うん、ありがとう。・・・・あれ?・・・」
殊能「うん?なんだい?なにか気になる事でもあるのかい?」
蘇部「殊能くんの言葉づかいって東京言葉じゃなくて、もしかして宝塚言葉意識してる・・・?」
殊能「・・・・・・・・・・・・・」
186 名前:名無しのオプ
宝塚という言葉に異様な興奮をみせる高里。
187 名前:名無しのオプ投稿日:02/09/30 16:49

中庭にあるパイプをくわえた犬の像の前で、男二人が語り合っている。
殊能と蘇部だ。楽しそうである。それを屋上から見下ろす舞城の目は厳しい。
さらにその図を双眼鏡で観察する高里の息は荒い。
高里「やーん、この三角関係どうなるのかしらっ!?」
そこへ森が現れた。やさぐれた様子で煙草をふかす舞城に歩み寄る。

(殊能君の料理の暖かさと同郷のよしみの気安さで一時心を許しかけただけに、舞城君は裏切られた気持ちのようですね。不良ほど寂しがりやの生き物はいませんから(笑)。
 そこをつけこめば、今度こそ舞城君は森の手駒として落ちるでしょう……)

森「舞城君、よかったらこれ食べませんか? さっき校庭で焼いたのが余りまして」
無害そうな笑みを浮かべながら、森は熱々の焼き芋を差し出す。
それを見た高里は、妄想を炸裂させて思わず叫んだ。

高里「きゃーっ! ついに森君が舞城君に告白したわーーー!!」

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