京極堂は古本屋である。主人は毎度のことながらまるで親でも死んだような仏頂面で和綴の本を読んでいた。
「まあ、あがりたまえ」
細君が不在とかで、出涸しのお茶を出してくれた。
「それで、今日は何の話でございましょうか。関口先生」
京極堂は巫山戯た調子でそういうと紙巻煙草を咥えた。
「二十箇月もの間子供を身籠っていることが出来ると思うかい?」
私はおもむろに訊いた。
「君は、そんなことを産婆でも産婦人科の医師でもJDCの一員でもない僕のところへわざわざ訊きに来たのかい?」
「い、いや、でももし二十箇月間も子供を身籠ったままの女性がいたとして、その腹部たるや普通の妊婦のおよそ倍はある。それでいて一向に産まれる気配もないとしたら、不思議なことだとは思わないかね」
「この世には不思議なことなど何もないのだよ、関口君」
「だいたいこんな話、君は誰に吹き込まれたんだい?」
「何、君の妹だよ」
京極堂の妹は名を敦子といって、この不健康な兄とは似ても似つかぬ健康的で活動的な娘である。容姿もこれまた死に神のような風貌の兄に似ず、凛とした美人・・・美人なはずだから、お楽しみに。現在は神田の出版者に勤めていて、一人前の雑誌の編集記者である。
「いや、君の妹が取材しようとしていたのは、妊婦の方じゃないんだ。妊婦の亭主の方さ。その亭主は、何と密室から煙のように消えてしまったらしいんだな。これはミステリィじゃないか。十分取材の価値はある」
「ふん!」
京極堂は眉を吊り上げると、身を乗り出して言った。
「それは間違いなく密室卿(モガッ)」
そして、慌てて馬鹿馬鹿しい−−と毒突いた。
「何かと思えば三文探偵小説の話かい」
「呼んだか?」
「(あ、グレさんの出番はもっと後です)」
「(おう、そりゃ失礼!)」
「え、えっと、とにかく雑司ヶ谷で代々続いた産婦人科である久遠寺医院の娘の子供がいつまでたっても産まれない。そして夫で婿養子の牧朗は行方不明なんだ」
「久遠寺牧朗、旧姓藤野牧朗と言えば旧制高校時代、我々の先輩だよ。君の脳は記憶していないようだがね−−君は神保町の探偵のところに行って相談をしてくるがいい。あいつは僕らより一級上で、藤牧氏と同級だし、次第が解れば放っておくまい」
そして、不可解な表情で、
「責任を取ってくれたまえ」
と結んだ。
京極堂を辞した私は、坂のたぶん七分目あたりで、強い眩暈を覚えた。
生垣「はい、カーット! イシン、リュースイとの二人羽織、素晴らしかったよ」
西尾「もうごめんですよ! 御大が長台詞を覚えられないって言うから中に入っていたのに、変なところで台詞を足しちゃうし」
生垣「Oh!・・・では次のシーンは別の人にやってもらおうか。関口役のソブは気がついたかい?」
高田「まだ気を失ってるよ。坂道役の地味なトリオが張り切っていたからなあ・・・薬がもったいないからこのままでいいや」
乾「地味なトリオは坂道役かよ! ひでーな生垣」
生垣「あ、倉知先生お疲れ様です!」
倉知「寝てるだけで良かったの?」
生垣「はい。完璧でした。また出番があったらお呼びしますから」
倉知「そうか・・・じゃあまたね」
高田「倉知先生、何の役なんだ?」
生垣「決まってるじゃないか。京極堂にいついている猫役だよ」
乾「『猫』丸先輩で猫役かよ! 失礼だよ!」
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