753 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 01:26

バレンタイン・デイの前日。
メフィスト学園の近隣に住む、女子高生たちの会話。

「京極先生ってチョコよりも、おはぎとかの方が喜びそうだよね」
「あはは、いいね。それ採用。がんばれ」
「あ、冗談なのに」
「わかってるって」
「清涼院先輩には、開けても開けても箱っていうのはどうかしら」
「それは、クロケン先輩だね」
「蘇部は、考えるまでもなくとんかつだ。とんかつ」
「積木先輩は本命チョコを送らないといけないわね」
「――!? 本気?」
「ち、ちがうわ。口が勝手に……。ふう、積木先輩、勝手にワタクシを動かしたわね」
「キャラ立ちしてから、やり放題だ。次は、石崎。あたしは義理」
「義理」
「ワタクシも同じです」
「やっぱ、そうなるか。森は?」
「なんでも送れば喜ぶ人だと思うから、考えなくてもいいんじゃないかな」
「お返しはしてくれるでしょうけど、三倍返しの反対だと思いますが」
「でも、お返ししてくれるだけでも私はうれしい」
「これだからミーハーは」
「乾先輩にはどうしましょう」
「名前のせいで、女性と勘違いされているんじゃないかなぁ」
「うわ、最低候補の筆頭だ。んじゃ次は、新堂さん。あたしはお返しが期待できると思うな」
「貰ったら怖いですけど、送るならばきちんとしてくれそうです」
「実は、純愛趣向だったからね」
「好きですって面と向かっていったらテレそう。かわいー! 本命は新堂さんに決定!」
「うわ、珍しい」
「そういう、あんたは誰に本命をあげるのよ」
「――へ? なななな、なんで訊くかな」

754 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 01:26

「ちなみにワタシクは、浅暮先輩です。ウイスキーボンボンはすでに購入してあります」
「渋いなー。おじさん趣味」
「はい」
「石黒も年食っているのに、無視ですか」
「なにあげてよいのやら。ネタが思いつきません」
「同じくらい津山も難しいね。津村か。んで、あんたは誰に送るのよ」
「……笑わない?」
「数学者?」
「もう。言わないよ」
「あはは、ごめんごめん。でも、あげる人想像つくなー。ユヤタンでしょ」
「――!! なななな、なんでわかったのっ!」
「女のカンってやつかしら。でも、学校留年しそうだしなー。それでもいいの?」
「うん」
「Feel For Love。まずは彼の愛を探してあげないと」
「伝説の木の下にでも呼び出して、あげなさいってアドバイスしておくわ」
「あう。酷い扱いだ。んじゃ、気を取り戻して、殊能先輩は?」
「むしろ頂戴ってせがみたい」
「ワタシクは交換してもらいます」
「ただであげようよ。つぎは、浦賀先輩」
「んーノリリンくらい悩むな。あたしの肉を食べてもいいよ。っていうは駄目?」
「いやな告白。肉って、あんた」
「それでは、氷川先輩はどうでしょう」
「女子高生なんでしょ。だからあげない」
「中島先輩は?」
「北山先輩、霧舎先輩、高田先輩、生垣先輩と一緒に五円チョコあげますわ」
「あたしも同意。あとは、古処さんと舞城さん、いーちゃんかー」
「なんか、本命が他にもいそうだよね」
「そうですね。彼らがモテないわけがありません。パスしましょうか」
「これで終わりだ。んじゃ、明日。がんばろうねー」
「ばいばーい」「さようならー」
755 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 01:41

「あ、古泉さんを忘れていた――まっ、受け取らないから。問題ないか」

 そうつぶやいて去っていく女子高生を、一人の男が眺めていた。
 そして、しばらくの間、その場に立ちすくんでいると、いつも楽しそうな石崎が彼に近づいてきた。
「おーい、そこでなに突っ立ってるんだ?」
「……い、石崎さーん」
「お、お前、泣いているのか? なんだよ、おい、どうしたんだよ」
「ぼ、僕はそんなに……そんなに目立たないですかー!」
「…………」
 男が泣き止むまで時間がかかりそうだった。

756 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 01:50
ワラタ
高里がどう動くかな。

757 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 02:56
藁た。癒されたよ(w

バレンタインや節分のネタで議論してるけど、前々から思ってたが、漫画とかで良くある季節モノ・ショートショートの形式で良いんじゃないかな。
そういうのには「オイオイ、本編ではお前ら今は遠いところにいるはずだろっ」というツッコミを入れるのは野暮ってもんで。

772 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 09:41

 バレンタインディ当日。

石崎「チョコの数は多いけど義理ばっかだなー。そのくせ、ホワイトディのお返しを期待されているんだからたまらないよ」
 それでも笑みを絶やさず、チョコの入った袋を抱えながら校内を歩いていた。
 職員室の前に着いたとき、一人の女生徒が法月先生にチョコをあげる場面に遭遇する。
 しかし、なぜか法月先生の表情は硬い。
 石崎は軽く口笛を吹き、聞き耳を立てた。

女生徒「法月先生。右手には本命チョコ。左手には義理チョコがあります。どっちにしますか?」
法月「……本命ってことは、好きだってことだよね」
女生徒「もち、ラブってことです」
法月「……義理ってことは、好きだってことだよね」
女生徒「一応――ホント一応ですけどね。去年新刊が出したことですし、その祝いです」
法月「……それを僕が決めるの?」
女生徒「はい、どっちにしますか?」
法月「……あーちょっと時間をいいかい。タケマルの餌の時間なんだ」
女生徒「その間にしっかり悩んでくださいね」

石崎「どうしてどうして」
 法月先生が、その場から逃げるように立ち去ったの確認すると、女生徒は手を叩いて喜んでいた。
 石崎は、女子生徒に近づいていき、その肩を叩く。すると女生徒は氷のように固まった。
石崎「北山だけの設定だと思っていたよ」
 にやりと石崎は笑った。
石崎「ノリリン先生を悩ませて、自分の作品の発売日とかぶらせないようにする魂胆なのかな? 氷川くん」
氷川「……ち、違いますよ。ここだけの話ですが、実は本当の女子高生なんです」
石崎「まーいいけどね。何歳になっても、女子大生の作家はいるし」
氷川「……はぁ。僕のギャグはわかりにくいんですね」
石崎「おや、噂をしたらあそこに北山がいるわ。しかも女装をしてる。よし、捕まえよう」

773 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 09:41

石崎「しかし、なんだな」
 女装をしている氷川・北山を見つめて、石崎は苦笑いを浮かべた。
石崎「女にもてないからって、それはないんじゃないの」
 すると、二人は顔をあわせて、ため息をついた。
北山「石崎さん、あなたはなにもわかっていませんね」
石崎「――? どういうことよ」
氷川「今日は……ああ、いいところに御大が」

清涼院「リューーーーーーーーーーーースイ」

石崎「な、な、な、なにがなんなんだ!」
 石崎はその姿を見て、おもわず叫んだ。
 清涼院も女装をして空を颯爽と飛んでいるではないか。
北山「つまり、そういうことですよ」
氷川「はじめからおかしいって気づかないと。石崎さん。あなたが女子からチョコを義理すらもらえるわけがないでしょ」
北山「なんといっても嫌われていますしね。DNAレベルで」
石崎「だからって、こんなオチありか? 俺のガラスのハートは粉々だよ」
氷川「防弾ガラスでしょ」
北山「ま、それはそれで。石崎さんもセーラー服に着替えましょうよ」
石崎「ちょ、ちょ、ちょっと待て。それはいくらなんでも」
浅暮「おや、石崎君。君はまだかつらをつけていないのかい?」
石崎「うわー。見たくないものを見てしまったー」
古泉「アッラーアッラー」

774 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 09:42

男一匹、古処である。
今朝はいやな夢を見てしまった。
しかし、まだよかったのかもしれないな。
このあと、森くんや新堂くん、蘇部くんを見てしまったら私の精神はずたぼろになっていたころだろう。
ま、そんなことはいいか。
いぶし銀の私は、いつでもチョコレートを募集している。
ギブミーチョコレート。それでは、ヨロスク。
776 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 09:48
>>774
和んだw
783 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 10:25

竹  「ねーいーちゃん。なんか、外野がうるさいよ」
西尾「それはね、チョコレートを貰えないことを僻んでいるだよ」
竹  「うわー傑作だ」
西尾「戯言だよ。そういって予防線をはらないと、あとあと困るからざ・れ・ご・と。わかった?」
竹  「うにー」
西尾「でも、職人さんよりも読者が増えちゃったって感じだよね」
竹  「んーそれは喜ばしいこどなんだけどねー」
西尾「意見や感想をいうのをヤメレ、っていうわけじゃないけど、多いとさすがになえるよ」
竹  「それは戯言?」
西尾「うん、戯言。便利でしょ、この言葉」
竹  「うにー。でも結局、終わらないと文句をいうなっていいたいね」
西尾「袋いっぱいの本命チョコレート。でも本当は、まだ渡す前みたいな」
竹  「職人さんたちに幸せがおとずれろーぎぶみーちょこれーとー」
西尾「えーと、僕にチョコをくれないのかな」
竹  「戯言だね」
784 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 10:45
竹ちゃんはいつから人間失格に(w

785 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 10:47
竹ちゃんすっかり馴染んで…

787 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 14:49

蘇部「ねえねえ、ぼくこんなの作ったよ。殊能くん喜んでくれるかなあ」
頬を上気させて蘇部が持ってきたそれは、トンカツチョコだった。
いや、チョコトンカツと呼ぶべきだろうか。ともかくそんなようなものである。
生垣「ワオ! 僕の知らない間に日本の食文化は変わったんだね」
浦賀「肉……肉に余計なものが……」
高田「豚肉と豚肉の間に板チョコを挟んで揚げたのか。胃薬が必要だね」
古処「男たるもの一生懸命であればよいというものではない。材料を無駄にするな」
笠井「お前は本当にゴミしか作れんのだな。まさに殊能の胃袋に対するテロ行為だ」
新堂「お前本当に殊脳のこと好きなんかい。こりゃ悪質な嫌がらせだぞ」
古泉「あるいは試練……そして修行……アッラーアッラーアッラー」
中島「もしくは罰ゲームだな。無自覚にしろ、恐ろしい」
森 「大目に見ましょうよ。トンカツにしかアイデンティティを見出せないのだから(笑)」
秋月「トンカツにしか? 目立てるアイテムが一つでもあれば充分だよね……うふふ」
氷川「まあまあ。被害に遭うのは殊能君だけなんだからいいじゃないですか」
石崎「そうだそうだ。みんなチョコが羨ましいからって僻んじゃだめだぞ」
乾 「羨ましいのはお前だけだっ」
北山「石崎さん、そんなに欲しいなら僕が女装してチョコを差し上げますよ」
高里「きゃあっ! バレンタインデーに新たな恋の予感ね。告白のチャンスよ★」
霧舎「ふう……(ハニーにチョコを貰ったとき、僕はどうすればいいんだろう)」
浅暮「俺は酒入りのチョコしか興味ないね」
黒田「僕はモー娘。からのチョコしか興味ないな」
佐藤「……妹からのチョコ……萌えだよね……」
788 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 15:00
チョコとんかつって美味しいらしいけど?
miffu.hp.infoseek.co.jp/
chocoton.htm

790 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 15:12
>788
あ、そうなんだ。
まあ、みんな単に絡みたかっただけということで。

792 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 15:38
いや、チョコとんは美味くない。
そこまで不味くもないが一度食せばもういい。

793 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 17:38
>>792
神。食ったのか……

791 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 15:19
>787
イイ(・∀・)!!

789 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 15:09

みんなにやいのやいのと騒がれて、さすがに蘇部は落ち込んだ。
蘇部「やっぱり迷惑なのかなあ」
日明「乙女イベントに口出しする無粋な輩は放っておけばいいのよ」
積木「つまり自分も誰かに渡すつもりでいる、と」
津村「あ、日明さん。言われたとおり、すべての教官に配ってきましたよ」
西尾「さすが秘書。用意周到だね」
竹 「ぜんぜん乙女ちっくじゃないよう」
清涼院「セーリョーインッ!!」
舞城「あーもーおめえらゴチャゴチャうるせえ。蘇部も辛気臭い顔すんなや。
   あの殊能がおめえの作ったもん食わないわけないやろ!」
蘇部「舞城くん……。そうだね、ぼく、思い切って渡すよ!!」
と、そこへ殊能が現れた。
殊能「みんなどうしたんだい。まさか蘇部君、苛められてないだろうね」
蘇部「違うよ。みんな親切にアドバイスしてくれてたんだ! ハイ、これ」
ちょっと緊張しながらも笑顔でチョコを渡す蘇部。
しかし受け取ったものの浮かない表情の殊能を見て、その笑顔が崩れそうになる。
蘇部「やっぱり……料理好きの殊能くんの口には合わないよね……」
殊能「あ、違うんだ。実は僕が君にチョコをあげるつもりでいたから」
そう言って殊能は先ほど調理室で作ってきたばかりのチョコを差し出した。
殊能「じゃあ、これは僕のチョコと交換だね」
蘇部「うんっ」
暖かくも美しい友情+あるふぁの光景に、クラスメイト達は拍手を送った。
その中に舞城の姿はなかった。
その後。
蘇部「あ、ようやく見つけた。探したんだよ〜。お礼が言いたくて」
舞城「ほんならこれ貰っとくわ。感謝料な」
蘇部「あっ。僕が貰った殊能君の…………」
取り返そうと思ったが、チョコを手にしたときの舞城の顔を見てやめた。
とても欲しかったもののようだから。
794 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 17:41

高里「大事な話ってなあに?」
霧舎「あ、ああ…」
高里「…?」
霧舎「あの…やっと帰ってこれたね」
高里「うん。なんだかホッとしたね」
霧舎「そうそう。…それで…ええっと」
高里「……? 変なダーリン」
霧舎「…う……」

覚悟を決めたはずなのに、霧舎はいざ高里を前にするとなかなか言葉を切り出せなかった。そんな霧舎の心は露知らず?高里は、山荘で関係が深まったのは誰と誰だとかいう分析を嬉しそうに話しだす。
石崎争奪戦では氷川が大きくリード。笠井先生X清涼院や殊能X蘇部←舞城に新たに登場した清涼院。でも蘇部と殊能はバレンタインのチョコを交換していたし、やっぱり絆は強いのかな。
そんな話に適当に相槌をうちながら、霧舎は話を切り出すタイミングを逃し続けていた。舞城の名前が出たときに胸がチクリと痛む。

795 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 17:42

高里「あ、そうだそうだ」
高里が何か思い出したようにバッグから何かを取り出そうとした。会話がとまる。
霧舎「高里さん」
霧舎は意を決して呼びかけた。「ハニー」ではなく「高里さん」と。
高里「うん?」
顔をあげた高里は霧舎の真剣な表情に困惑したような笑みを浮かべた。
高里「…ど、どうしたの?」
霧舎「山荘でずっと考えていたんだ」
高里「………ダー」
霧舎「僕は本当に高里さんのことが好きなんだろうかって」
高里「!!」
霧舎「僕は高里さんのことが好きなんだと思っていた。
  でも、それは違ったんだ」
高里はゆっくりと視線を下に落とし両手をぎゅっと握りあわせた。
わずかな時間その場を静寂が支配する。
逃げ出したくなるような気持ちを必死に制御しながら、霧舎は決別の言葉を続けた。
霧舎「たぶん、本当は誰でもよかったんだ。ただ寂しさをまぎらわせて
  くれる人が欲しかっただけで。…やっとそのことに気がついた。
  …ゴメン。悪いのは僕だ。こんな身勝手な僕なんかが高里さんを
  このまま拘束していいはずなんてない。高里さんには僕よりも
  もっとふさわしい相手がいる。僕たちは別れた方がいいと思う」

霧舎は空を見上げた。しばらく見ていなかった冬の青空だった。

6 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 18:06

高里「霧舎君……」
長い沈黙のあと。いや、実際はそれほど長い時間ではなかったのかもしれない。
高里はダーリンではなく霧舎君と呼びかけた。
高里「わたしたちの恋人ごっこはもう終わり…なんだね」
霧舎「え……気づいて…たの?」
高里「うん…」

霧舎(そんな…僕のいいかげんな気持ちに気づいてて…それなのにつき
  あってくれてたのか)
高里(霧舎君が本当はわたしのことをそんなに好きじゃないってことは
  知ってたよ。だって…)
霧舎(こんなに優しい彼女を僕は傷つけていたんだ)
高里(だって霧舎君は…)
霧舎(僕はなんて馬鹿だったんだ)
高里(だって霧舎君は石崎君が好きなんだものね。ああっ、わたしとのかり
  そめの恋人をやめて、霧舎君は本気で石崎君にアタックするつもりなん
  だわっ)

妄想が疾走しはじめた高里の瞳がきらきら輝きだす。
霧舎(目に光るものが…泣かせてしまった)
高里(あ、そういえばこれって一応別れ話なのよね。えっと…こういうときは)

ぱあんという音が響き渡った。

そして、走り去る高里。
頬を張られた姿勢のまま、霧舎は目を閉じ、遠ざかる高里の足音を聞いていた。

「さよなら、霧舎くん…」

7 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 18:07

高里(別れ話で男の頬を張って走り出す女の子。これでいいのよね、
  これで。ふふふ。まるで少女マンガのヒロインみたい。)

校舎の角を曲がり霧舎から姿が見えなくなったところで、高里は走るのを止め歩き出す。
もしかして霧舎が追いかけてくるかもしれないとも思ったのだが、背後から追いかけてくる気配はなかった。ふうと息をつく。

高里「あ……あれ?」

突然、目頭に熱いものがこみあげてくる。あ、と思ったそのときにはもう涙がこぼれ出していた。

高里が夢中になって妄想話をしているとき、少し困ったような表情をしながらもずっと聞いてくれていた霧舎。山荘でココアをいれてくれた霧舎。石崎と遊んでいる霧舎。一緒に殊能と蘇部を盗み撮りしていたときの霧舎。最近の霧舎の姿があらわれては消えていく。

高里「お、おかしいな。なんでわたし泣いてるんだろう」

8 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 18:08

高里は涙を振りきるように走り出した。
立ち止まっちゃいけない。
立ち止まったら、きっと、霧舎の元に戻りたくなる。
でも、霧舎はもう高里のダーリンではないのだ。
霧舎は石崎との愛に生きるのだ。そこに自分がいてはただのお邪魔虫。
今まで一緒にいてくれた霧舎と別れるのは寂しいけれど、我慢しなくちゃ。

だから…泣くな! ファイトだよ高里椎奈! 大丈夫、笑って

笑って…

……

笑えないよお…

9 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 18:09

石崎「うおーい霧舎ー」
乾「うわ、霧舎、ほっぺが赤くなってるぞ。どうしたんだよ」
石崎「わはは、見事に手形になってるじゃないか。高里にセクハラでもしてビンタされたか?」
乾「セクハラって、石崎じゃあるまいし」
石崎「失敬な。俺は紳士だからセクハラなんてするもんか」
乾「お前は女子高生の胸のサイズを聞くようなセクハラ親父だろ」
石崎「じゃあパンチラだな。国定忠治も言ってるだろ?『名探偵にかかればすべての謎は赤城の山も今宵かぎり』と」
乾「言ってない。断じて言ってない」
霧舎「…高里さんと別れたよ」
乾「え!?」
石崎「うそ!」
霧舎は泣き笑いの表情をしていた。乾は言葉につまったように戸惑いの表情を浮かべる。
石崎も一瞬真剣な顔をしたが、すぐにニンマリと笑って霧舎の肩に腕をまわした。
石崎「さあて、飲むか。今日は朝までヤケ酒につきあうぞ。なあ、乾」
乾「…まったく、しょうがないなあ」
乾も苦笑したように霧舎と肩を組む。
石崎「ふふん、じゃあ今日はぱーっと行こうか。なんならセーラー服パブでもいいぞ。霧舎巧、失恋してもパンチラ魂は忘れず、だな」
乾「おいおい」
霧舎は賑やかな2人にはさまれ歩く。石崎のボケと乾のつっこみを聞いていると、落ち込んでいた気持ちが少し楽になるような気がした。
霧舎「……さんきゅ」
霧舎は2人には聞こえないように小声でそっとつぶやいた。
10 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 18:13

舞城はベンチに座ってぼーっとしていた。蘇部から奪ったチョコレートはすでに食べた。

うまかった。俺もあの2人にチョコレートをやろうかそんなの俺のキャラじゃなえわな
いやその前になんで蘇部にまでやんなきゃいけないんだああ殊能にならやってもええとかそういうことじゃなくてだな

誰かの走る足音が聞こえた。誰だろうと目をやった舞城の前にあらわれたのは高里だった。舞城を見てびっくりしたように高里は足をとめる。慌てたように高里が涙をぬぐうのを舞城は見逃さなかった。

舞城「おやあ、どうして泣いてるんですか、そこのお嬢さん」

舞城はニヤリと意地の悪い笑みを浮かべ、両手を横に広げた。

12 名前: 名無しのオプ
投稿日: 03/02/14 18:49
新スレ乙

っていうか霧舎…(涙)
ガンバレ…俺は応援してるぞ!!

13 名前: 名無しのオプ
投稿日: 03/02/14 19:15
乙一。

微妙なトリオが揃うの久しぶりだよな。
霧舎頑張れ。高里も頑張れ。

14 名前: 名無しのオプ
投稿日: 03/02/14 20:10
バレンタイン、賑わってますね。素晴らしい。ついでに乙一。

11 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 18:15

舞城「ふっふっふ、お嬢さん、実にナイスタイミングなことに、俺の胸は空席
  なのです。女の子なら誰でもウェルカム飛び込み自由。うひひ、泣いてる
  女の子ならさらに大歓迎。なぐさめてあげるからどんといらっしゃい。涙が
  とまったらこの舞城ツーリストがお嬢さんを天国へご案内いたします。
  アフターケアもばっちり。ヒイヒイ言わせてあ・げ・る」

冗談のつもりだった。高里をからかってやるつもりだったのだ。
ところが、立ち上がった舞城の胸の中に高里は飛び込んできた。
そして舞城の胸に顔を埋めて肩を震わせはじめる高里。

舞城「なんや……お前なあ。冗談やったのにほんまに飛び込んでくる奴が
  おるか、ボケ。
  801の女王様がそんな無防備な姿さらすなや。そんなよわっちい乙女な
  お前じゃあ、俺の自慢の毒牙も萎え萎えじゃ、…あほ」

言葉とは裏腹に舞城は高里の頭に手をやりそっとなでてやっていた。

15 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 20:30

竹「あ、いいんちょ見つけたっ。はい、これ」
森「おや竹さん。これは…もしかしてチョコレートですか。森に?」
竹「そーだよ。もういーちゃんにはあげたんだ。だから、これから皆に
  配るんだよ」
森「全員にあるのですか?凄いですね(笑)」
竹「ねえねえ、ちょっと開けて見て」
森「ここでですか?(ガサガサ)…何と。チョコの上に白く似顔絵が。
  もしや手作りなのですか?」
竹「うんっ。頑張ったんだー。皆の分、全部違うんだよ」
森「いや、驚きました。ありがとうございます、大変嬉しいです」
竹「えへへー」
森「でも大変だったでしょう。こんなに見事に似顔絵を…。
  確かホワイトチョコレートの方が普通のチョコレートより溶けやすいの
  でしょう?」
竹「そうなんだよ。最初チョコで描こうとしたら溶けちゃって大変でさ」
森「はあ……え?最初とは?」
竹「何度やってもうまくいかなくて、だからホワイトで描いたんだよ」
森「ホワイトとは、ホワイトチョコではなく?」
竹「うん、『ホワイト』だよ」
森「…………」
竹「じゃあ、僕様ちゃんは他の人にチョコを配らないといけないから。
  ばいばーい」

森「…ふむ。下の方は食べられるでしょうね。折角の彼女の手作りですし、
  有り難く頂きますか。
  しかし、誰か一人は気づかずにそのまま食べるかもしれませんねえ(笑)」

19 名前: 名無しのオプ
投稿日: 03/02/14 22:25
>15
大丈夫、絵の具の白には有害な成分は入ってないはず。
食 べ ら れ ま す
20 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 22:29

とある茂みの中で古処と津村は双眼鏡で何かを監視していた。
迷彩服はもちろんのこと、顔にまで迷彩ペイントがほどこされており、地面にふせた状態の2人は外からはまったく見えない。
観察対象に気配を悟られぬように息を殺し細心の注意をはらっている。

古処「うむ、乙女の涙を優しく抱きとめるのも紳士のつとめである。
  さすがだ。舞城。津村、貴官も淑女にたいしてはかくあるべし」
津村「イエス サー」

2人は>>11の舞城と高里を観察していたのだった。

古処「よし。では次なる標的に向かうぞ」
津村「了解(ラジャー)」

2人はほふく全身をしながら茂みの奥に姿を消した…

21 名前: 名無しのオプ
投稿日: 03/02/14 22:51
霧舎がなんだかキルケゴールみたいだ……イイ!

22 名前: 名無しのオプ
投稿日: 03/02/14 23:21
>21
これで霧舎人気が高まれば霧舎スレのタイトルから「氏ね」が消えるのも夢ではない……かもしれない……ような気がする。

25 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/14 23:51

竹「あー!こどちゃん見っけ。たっくんも一緒なんだよ。わー、そのカッコ、
  イカスね!」
古処「誰かと思えば竹嬢ではないか。一人とは珍しい。ん?その袋は?」
竹「うん、チョコレート。皆に配ってるんだよ。はい、こどちゃんの分!
  こっちはたっくんの分」
古処「おお、美女からチョコレートが貰えるとは、紳士冥利に尽きるのである。
  有り難く頂戴しよう」
津村「え、僕にもあるの?ありがとう、嬉しいな。開けて見てもいいかな…」
竹「見て見て。僕様ちゃんの自信作だよ。ところで、他の人見なかったかな?
  いいんちょにはもう渡したんだけどさ」
古処「うむ。さっき舞城と高里を見たな。見たと言っても双眼鏡であるが。
  場所はここだ」
竹「あ、学園の地形地図だ。凄い凄い!これ、こどちゃんが作ったの?
  こどちゃん、かっくいーものいっぱい持ってるよねー。
  ……うん、覚えた!じゃ、そこへ行こっと。ついでに他の誰かに会わないか
  なー」

津村「…あの、チョコは嬉しいんだけど、竹ちゃん、ここ『TSUNURA』になって
  るよ…」

26 名前: 名無しのオプ
投稿日: 03/02/14 23:58
完璧に保護色に身を包んだはずの古処隊を苦もなく発見するとは−−−竹ちゃん恐るべし!
33 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/15 01:40

日明「あら?竹さん、その大きな袋…もしかしてあなたもチョコレートを配ってるの?(キラリ)」
竹「メグちゃん発見なんだよ。あ、みっくんにりょーちゃんもいるー」
浅暮「何だ君一人か、珍しいな。西尾はどうした?」
秋月「…りょーちゃん。りょーちゃんか…うふふ」

日明「ねえ竹さん、あなたは特別研修生なんだから、先生方にチョコレートを配っても特に何も…」
竹「はいっ、メグちゃん!で、こっちはみっくんで、こっちがりょーちゃんのチョコ!」
日明「…え?私にもあるの?何で?」
竹「何でって、皆の分を作ったからだよ。メグちゃんにもあげるし、しーちゃんにもあげるよ?」
浅暮「ほう。どっかの誰かとは根本が違うな。純粋だ」
日明「何よ。あなたこそ、お酒の入ってないチョコレートはいらないんじゃなかったの?」
秋月「良かった…僕のことを忘れていない人がいて…ああ、ちゃんと『りょーちゃん』って入ってる…」
舞城「あー、これはいかんわ」

34 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/15 01:42

秋月「ああ!何するんだ舞城くん!それは僕のチョコ…」
竹「あっ、おーちゃん登場だね。それからしーちゃんも、ちゃおー……あれ?どうしたのしーちゃん。元気なくない?」
高里「ん?何でもないよ?それより、竹ちゃん何してるの?」
竹「ふーん?ま、いっか。うん、チョコを配ってるんだよ。はい、これ。しーちゃんはたくちゃんにチョコあげたの?」
高里「え?あー…えーと…あの、ね…」
日明「……?」
舞城「おう何や、俺のはないんか?」
竹「あ、勿論あるよ。はい。おーちゃんのチョコには熊を描いたんだよ」
舞城「サンキューヴェリーマッチ!…で、これはええとして、その呼び方いかんわ」
竹「うに?おーちゃん、おーちゃんって呼ばれるの嫌?」
舞城「違う違う。俺やなくて」
竹「じゃあ、メグちゃん?みっくん?りょーちゃん?しーちゃん?」
舞城「それ。秋月。その呼び方やめえや…ったく、ご丁寧にチョコレートにまで…」
秋月「は!?何で僕なんだよ…っていうか、チョコ返して…あ、割った…!!!」
竹「えー?何でー?『りょーちゃん』駄目?」
舞城「何でも。どうしても。他にも呼び方あるやろ。安直じゃ安直」
浅暮「それを言ったら殆ど全員安直…いや、何でもないよ舞城」

竹「…うーん、おーちゃんがそこまで言うなら、りょーちゃんって呼ぶのはやめようかな」
舞城「そうそう。やめや。秋月が『涼ちゃん』なんて似合わん」

秋月「ちょっと、何で……え、じゃあ代わりに何て呼んでくれるの?」
竹「うにー、それは保留するんだよ。僕様ちゃん、チョコ渡す人がまだ残ってるからもう行くねー」
秋月「そんなー……」

38 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/15 09:42

「どーしたの? 似合わず、いじけずに悩んでいるけど」
「あ、竹ちゃん。はお」
「はお」
「いやね、僕だってたまにはうじうじ悩まない日だってあるんだよ」
「なんだっていいけどね。あ、そうだ。僕様ちゃん、いまチョコを配っているんだ。あげるよ」
「ありがとう……えーと、なにこれ」
「佐藤ゆえに砂糖なしチョコ。あだ名がとーちゃんだったら、星一徹風ちゃぶ台チョコだったんだけどね」
「さいでっか」
「でも、なんで悩んでいたの?」
「ん? いやね。愚痴をいうのは、聞き手がいるからできるんだなーっていうことを再認識したからさ」
「ふーん。それはなに系の話?」
「メタ系。やろうと思えば、僕にだってできるんだよ。テロルに成功した男の子だからね」
「うにー。自分の愚痴を聞かせるのは好きなのに、人のは聞きたくないんだ」
「そりゃーそうだよ。愚痴っていうのは、一種の強制だからね」
「ちょっと聞いてくれよ1さん」
「まー僕みたいに、力なき人間が愚痴っても力はない。蔑まれるだけさ。これが売りだからいいんだけね」
「ロウテンションなハイジャンパーみたいな口ぶりだ」
「それって結局ダメダメってことじゃん。さておき、森委員長が日記で愚痴を書いたらどうなる?」
「信者は共感して、間違ってないっ!と賛同して、対象に対して攻撃かな。これは戯言戯言」
「なきにしもあらず。まー実際は起こらないだろうけど」
「右向け右、ピッピ。集団心理はなにが起こるかわからない。あー怖い怖い」
「ま、なにをいいたいのかっていうと、ここで左を向いている人間がいるのを忘れないでねってこと」
「うにー」

 そのあと、手を振って竹ちゃんは去っていった。笑顔で。
 僕も手を振りながら”君”にささげる言葉を思いつく。

 ――甘えるな。

「相変わらず、パクリ作家ぷりを発揮しているね」
「うるさい黙れ積木」

39 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/15 10:14

竹「あー、やっと見つけたんだよ。どこ行ってたの。…うに、お酒くさい…」
石崎「いやあ、男三人で飲み明かしの語り明かしだ。美しきことは仲良き哉だなー」
乾「逆だろ、この酔っぱらい…大体、飲みに行こうって言いだしたのはお前のくせに、何で財布持ってねーんだよ!」
霧舎「あはは、結局殆ど僕の奢りみたいなもんだよね。乾もあんまり持ってなかったじゃないか。……う」
竹「たくちゃん、何で笑いながら泣いてるの?それにホッペが腫れてるよー?」
石崎「あー、霧舎なー、あれだよ、ちょっとブレイクスルーでさ、だから徹夜で飲んだんだけどなー」
乾「わけわかんねえよ、閃いてどうするんだよ!ああもう、石崎お前ちょっと黙れ」

竹「うにー、何かわかんないけど大変だね。はいこれ、チョコ。もうー本当は14日に渡したかったのにー」
石崎「おお!マジでか!いやーサンキュー。ほらな、霧舎。生きてたら良いことあるんだぞー。
   お前の未来は無限に広がっているのだー!さあこのチョコを食って元気を出せ!」
霧舎「食べるのはまた後にするよ…う、今は帰って寝たいんだ…気持ち悪い…」
乾「はいはい、部屋まで連れてってやるよ。じゃあ竹ちゃん、チョコありがとね。…おい、石崎!道ばたで横になるな!」
石崎「踏まれるなら女子高生がー…」
乾「あああああ!何で俺だけ気持ちよく酔えてねえんだよ!こら立て石崎!霧舎、こんなところで吐くなよ!」

竹「本当に微妙チームは仲良しさんなんだよ」

104 名前: 学園編 投稿日: 03/02/16 02:48

高里「あ…あの…舞城君」
舞城「んあ?」
高里「そ、その……さっきはありがと」
舞城「ふん。どうせ礼をするならちゅーでもしてくれ。ほれ、ちゅー」
高里「なっ!?」
舞城「わははは、赤くなりよった」
高里「………うぅ」
舞城「しーちゃん、意外にか〜わい〜い。俺に惚れんなや」
高里「だ、誰が惚れるかぁっ!」
舞城「んごっ!」

高里がいきなり投げつけた物体が舞城の顔面に直撃する。

舞城「ゴルァッ!何すんじゃボケ!」
高里「それあげる。じゃあね」
舞城「はあ? あげるて何を…」

舞城の顔面に投げつけられたものは綺麗にラッピングされた小さな箱であった。
中を見るまでもなくチョコレートだろうと思われた。

舞城「……ったく、さっきといい、柄にもなく乙女ちっくな姿見せおってからに」

1105 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/16 03:27

女生徒「はい、バレンタインチョコです。受け取ってください」
生垣「ひゅー、これは嬉しいな。ありがたくいただくよ」
女生徒「それじゃ」(ニコニコ)
生垣「あっ! ちょっと待って……ああ、行ってしまった。ベリィキュートな
  女の子だったけど一体誰なんだろう。もしかしてあれがシーナなのか?
  あるいはメグミ?」

北山「うーん、そういえば今の人、見かけない顔だったけど誰だったのかなあ?
  僕の知らない編集の人なのかな」

生垣が女生徒だと誤解したのは女装した北山だった。

北山「それにしても、うふふ。誰も僕のことを女装だと気づかないなあ。
  さっきの人も気づかなかったみたいだし、秋月先輩なんか泣いて
  喜んでたしなあ、あはは、正体が僕だと知ったらちょっとかわいそう
  かも。よし、次は石崎さんとか氷川さんをたぶらかしてやろう。
  いくら名探偵でも、学園祭の頃から密かに研究に研究を重ねた僕の
  女装は見抜けまい」

106 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/16 03:41
北山ワラタ
高里には萌えたー。
こんな時間に起きてて良かったよ(w
107 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/16 10:40

しかしそのチョコを開けてみるとカードが。

「DEAR霧舎巧kun なんだか最近上の空だった私だけど
優しくこっちを見つめてくれていたね。ありがとうダーリン。
これに感謝の気持ちもこめて   高里しーな」

舞城「・・・」

あのときの涙の様子から舞城にはこのチョコレートが行き場を失っていることが
判っている。でもこんなの食っていいんかな・・と迷うこともなく
食えるものは食う舞城だった。

舞城「(モグモグ)うめえげやこれ」

でも舞城は特にホワイトデーのことは考えていずに、こんなの福井では
売ってないんでねえんかな〜と思うだけであった。

108 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/16 10:58
舞城x乙女な高里、激しく萌え〜。

111 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/16 11:51
バレンタイン編すごいですね、まさか舞城x高里とはw
・・・ちょっと萌えましたw

112 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/16 12:08
例えもう無理だとわかっていても霧舎×高里復縁を密かに願いつづける私
・・・霧舎がんがれ…

113 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/16 12:45

古泉「アッラーアッラーアッラー」
高田「古泉君、いるかい?失礼するよ………何してるんだい、君」
高田は古泉の部屋(瞑想室)に入ろうとして足を止めた。

足下に白い煙が漂っている…ドライアイスだ。そして、クーラーがガンガンに効いている。暖房などではない、冷房である。
そして当の古泉本人は、どこから調達したのか知らないが、巨大な氷の上に半裸になって座っていた。見ているだけで寒い。
ペンギンでもいれば少しは和むかもしれないが。

高田「………まさか、雪山修行の再現をしてるのかい?」
古泉「アッラーアッラー……そうだ。あのときが、一番アッラーに近づけた。
   自らを極限に追い込むことこそが…」
高田「あのねえ、アッラーとやらに近づく前に風邪をひくよ、それじゃあ。
   雪山のときだって凍り付いて仮死状態みたいなもんだったじゃないか。
   何でも積木君に連れ戻されたんだって?」
古泉「覚えていないのだ。………何故だ。あのとき、アッラーは……」
一人でぶつぶつ言い始めた古泉を見て高田はため息をついたが、気を取り直したようにポケットから箱を取り出した。

114 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/16 12:45
うん、なんだか舞城にはあんまり安定して欲しくないと言うか(w
霧舎×高里でこの二人にひたすら葛藤してほしいかもと思ったり……ご、ごめなさ……
115 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/16 12:49

高田「今日は、ちょっと君に協力してもらおうと思って来たんだけどね。
   ほら、バレンタインだったろう。それでチョコレートを作ったんだよ」
ちょっと試食してみてはくれないか、何極めて安全な普通のチョコレートさ、とにこにこ笑って言う高田。

あからさまに怪しい口上に他の者なら逃げ出すこと必至だが、古泉は氷から立ち上がると高田の元まで来て、箱を受け取った。
高田「うん、素直で結構。乾君とは大違いだ」
古泉「自らを極限に追い込むことこそが……(バリバリ、ゴクン、ガタン)
   ……アッラー…アッラー……」
呟きながらチョコレートを食べ、飲み下した次の瞬間、古泉はいきなり崩れ落ちた。眠っている。

高田「よし、成功。対古泉睡眠薬、即効性確認…と。あとは効果持続時間
   データを取って…」
嬉しそうにメモを取って、古泉を見下ろしてから、部屋を見回す。ふと見ると、先程彼が座っていた氷の端に、箱が置いてあった。
寄ってみれば、それは自分も貰った竹からのチョコレートが入っていた箱で、既に空になっている。
高田「…成る程、古泉君も素直に貰ったチョコレートは食べたのか…彼は
   バレンタインに無関心だと思っていたな」

自分でも食べさせておいて、感心したように呟く高田だった。

138 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/16 22:25

「チョコ、白倉様の手作りチョコぉ……」
ゾンビのように、大塚邸の門にすがりつくユヤタン。
しかし悲しいかな、蜜月どっぷりな大塚夫妻は、らぶらぶ旅行の真っ最中でした。
可哀相に、バレンタインの前日から大塚邸で張り込んでる為、ファンの女子高生からも、竹からもまだチョコをもらえていないのです。
そんなユヤタンの前に、綺麗な(願望)女の人が現れました。
ユヤタンの本の表紙絵を書いてくれた、笹井一個おねぇさんです。
「あら、佐藤君。飢えた子犬みたいに物欲しそうな顔して、どうしたの?」
笹井おねぇさんは、陰鬱な顔してナゲヤリに失礼な事を言いました。
「あ、笹井さん。僕にチョコを渡しに来てくれたんですね」
ユヤタンは顔に似合わずずうずうしい子でした。
「大塚さんに義理チョコ持ってきただけよ」
笹井おねぇさんはノリの悪い人でした。
「大塚先生はいません。白倉様とおでかけです」
ユヤタンは元気良く言いました。
「あらそう。ユヤタンはお留守番? イイ子ねー」
笹井おねぇさんはなんだかめんどくさくなってしまいました。
一応義理でチョコを持ってきたけど、わりかし世俗の風習には興味がないのです。
なにより、以前白倉由美とパイのぶつけ合いまでしてるので、大塚邸に出入りするのは少々気まずいかな、とも思っていました。
でも、せっかく持ってきたのに無駄足というのは、すこし癪にさわるのです。
139 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/16 22:25

「ユヤタンはチョコもらえたの?」
笹井おねぇさんは少しイジワルな気持ちになりました。
ユヤタンは捨てられた子犬のような顔で、首を振りました。露骨に媚びてます。
「ふーん。そう。あー、チョコ無駄になっちゃうなー、どうしよーかなー」
おねぇさんは物欲しげなユヤタンを見て、いやらしい笑い方をしました。
皆さんも知っているとは思いますが、ユヤタンをいぢめると、とても気持ちが良いのです。
「これじゃ、チョコ捨てるしかないわね。ああ、勿体無い」
ユヤタンは泣きそうな顔をしました。
そんなユヤタンをおねぇさんはにこにこして見ています。
「ユヤタン、欲しい?」
ユヤタンの顔が、にわかに明るくなりました。
「あげる」
おねぇさんは、チョコをユヤタンに渡すと、だるそうに帰っていきました。
チョコを抱えたまま、ユヤタンはふるふる感動していました。
「笹井さんは、きっと僕の事が好きなんだ」
ユヤタンはとっても幸せな気持ちでした。
140 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/16 22:42
なぜに語りが絵本チック…(笑)

141 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/16 22:47
>>139
ユヤタン小説っぽくてイイじゃん!!
おねぇさんキャラ萌え!!

147 名前: GOGOチョコレート編 投稿日: 03/02/16 23:10

日明「はい、あげる」
氷川「え、これは…って聞くまでもないですね。チョコレートですか」
日明「ええ、別に毒ははいってないので心配しないでいいわよ」
氷川「毒入りですか。ふふふ、もしそうなら、僕が死んだ後に日明さんや石崎さん
  他に…キャラ的に蘇部君かな。みんなで集まって推理してその謎をといてく
  れるんでしょう?」
日明「え?」
氷川「……すいません。僕の冗談はわかりにくいってよく言われるんです」
日明「本当によくわからないわね。まあいいわ。山荘で頑張っていたからご褒美
  というか…。あ、ちゃんと言っておくけど義理だからね。先生達へのチョコの
  あまった材料で作っただけなんだから」
氷川「義理でも嬉しいです。ありがとうございます」
日明「それと、石崎君にもこれ渡しておいて」
氷川「石崎さんにですか。直接渡せばいいじゃないですか」
日明「う、それは嫌。…わたし、石崎君ちょっと苦手なの」
氷川「それはまたどうして?」
日明「なんだかセクハラされそう」
氷川「ああ、つくづく石崎さんは女性に好かれない才能の持ち主みたいですね」
日明「そうなの? 思わず納得してしまいそう」

氷川「そうそう、ところで『それでも警官は微笑う』読みましたよ」
日明「え、読んだの?」
氷川「ええ、僕も警察を舞台にした作品を書こうかと思っていたのでとても参
  考になりました。いい作品ですね」
日明「ほ、誉めても何も出ないわよ」

148 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/17 00:47
おおう、新カップル成立の予感

149 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/17 07:57
日明x氷川、イイネ(・∀・)!!
お高い日明が氷川の屁理屈にはなぜか逆らえないマターリの予感

152 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/17 20:04

氷川「ああ、石崎さんここに居たんですか」
石崎「お、氷川。何か用か?」
氷川「これ。日明さんからです。山荘のご褒美だそうですよ」
そう言って、氷川は日明から預かったチョコレートを石崎に手渡す。
乾「何で氷川が持ってきてんの?パシリ?」
氷川「違いますよ。頼まれたんです、僕から渡してくれって」
乾「それをパシリって言うんだよ」
氷川「断じて違います」

石崎「ふふん、日明も案外可愛い所があるじゃないか。そんな恥ずかしがらなくても…」
氷川「義理チョコの更に余りだそうです」
間を置かずに冷静に答える氷川に、石崎はげんなりした表情になる。

石崎「お前なあ…もうちょっと夢を見させてくれたっていいだろ」
乾「そうそう。こういう時はひとしきりボケさせてからツッコミを入れるのが王道だ」
氷川「いや…別に突っ込みを入れたつもりはないんですけど」

本当は『苦手』だの『セクハラされそう』だのと言われたことを、氷川は黙っていた。
それを石崎は知る由もない。

153 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/17 21:22

そんな三人に熱い視線を送る人物がいた。

高里「ああ!氷川くんが石崎くんにチョコレートあげてるわ!」
氷川「高里さん」
例によって、彼女の目はキラキラしていた。胸の前で手を組んで、心なしか顔が赤い。
高里「しかも乾くんの目の前で渡すなんて…もう、何て大胆なの氷川くんってば!」
氷川「いや、これは日明さんから預かって……高里さん、聞いてる?」

いつもなら石崎も乾も高里に何か言うところなのだが、霧舎とのことを知ってるためにどうも調子が出ない。
別に二人が高里に対して気まずくなる必要などないのだが。
石崎「(ぼそぼそ)何か、いつも通りだよな。もう立ち直ってんじゃないか?」
乾「(ひそひそ)馬鹿。そんなんだから女が寄って来ないんだよお前は。飲んだとき霧舎が言ってたろ、泣いてたって。
  いくら高里だってそんなに早く立ち直るわけないだろうし。わざと明るく振る舞ってんだよ。察しろよ」
石崎「(ぼそぼそ)…泣いてた?霧舎、そんなこと言ってたっけ?」
乾「覚えてねえのかよ、この酔っぱらい!」

いつものノリで、乾はつい大声でツッコミを入れてしまった。それに敏感に反応する高里。
高里「えっ。石崎くん、酔った勢いで何をしたの?覚えてないって…きゃっ、そんなことっ」
石崎「あーのーなー…」

どうしたもんかと石崎は頭を抱えた。これが空元気なのだろうか。自分には素に見えるのだが。
しかし乾は特に何も言わないし、氷川はまだ冷静にチョコレートの出所について説明しようとしている。
高里の妄想話に巻き込まれそうになったことは多々あれど、こんな困った状況になったのは初めてだった。

154 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/17 21:23

自分の苦悩などお構いなしに、高里の話は止まらない。
高里「氷川くんは乾くんに宣戦布告、けど石崎くんには乾くんがいた…氷川くんが断然リードしてると思ってたけど。
   もう石崎くんったらモテモテなんだから!」
石崎「………」
これはどうするべきか。放っておいたらこいつずっと喋り続けそうだ。怒るか?怒るべきか?いやでもしかし。
高里「やっぱり、今一番注目すべき三角関係よねっ!あ、北山くんもいたんだっけ、てことは四角関係?」
石崎「……あー…」
高里「そういえば北山くん、可愛い格好してチョコを配ってたけどそれも……痛っ」
やっぱり怒ろうか、と思って石崎が声を出しかけた矢先、後ろから何者かが高里の後頭部をはたいた。

舞城「おら高里。何マシンガントークしとんのや。ちゃんと待っとけ言うたろうが」
高里「あ、ごめんなさい…つい…」
舞城「何のついじゃ。まあ、探す手間が省けたさけええけどな」
いつの間かそこに舞城が来ていた。彼は叩くのにどうやらあまり手加減しなかったらしい、高里は涙目になっている。

妙な組み合わせだった。

氷川「探す手間って?舞城君、僕らに用が?」
舞城「そうや。おい石崎、飯を食いに行くぞ」
石崎「は?何で俺をご指名なんだ?飯って高里も……ってうわ!何するんだよ!」
舞城は唐突に石崎の首根っこをつかむと、有無を言わさずずかずかと歩き出した。

155 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/17 21:24

石崎「おい舞城!普通、人を食事に誘うときはもっと紳士的にだな…いや、奢ってくれるんなら喜んで行くから放せって」
舞城「安心しろや、俺とお前で割り勘」
石崎「はあ!?高里は?何で俺が高里に奢らんと…痛え!何すんだこの暴力魔王ー!おい乾!氷川!助けてくれー!」
唖然とする乾と氷川を残して、そのまま石崎は舞城に引きずられて拉致られて行った。

乾「……何あれ」
氷川「高里さん、何事ですか?」
高里「よくわかんないんだけど、ご飯をご馳走してくれるって」
本当に良くわかっていないらしく、高里は困ったような喜んでいるような、複雑な表情で答えた。
そして、慌てて去っていった二人の後を追おうとする。

乾「あ、高里」
そこでふと乾が高里に呼びかけた。高里は足を止めて振り向く。乾は少し決まり悪そうに言った。
乾「あー、あのさ、早く元気出せよ。気にすんなってのは無理だろうけどさ」
高里「………うん、大丈夫。ありがと」
一瞬表情を止めてそれから少しだけ寂しげに微笑んで、高里は行ってしまった。

氷川「何のことですか?…というか、今の出来事は一体…」
乾「舞城と石崎、で高里か…ちょっと推測できるけどなあ…」

156 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/17 21:50
うわー、どうなるんだろう、このお食事会……
157 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/18 00:02

乾「そのうちお前にも伝わってくるだろうから言うけどさ…別れたんだと、あの二人」
氷川「は!?霧舎君と高里さんがですか?何でまた急に。スキー合宿のときは普通でしたよ」
乾「さあな。別に根ほり葉ほり訊いたわけでもないし。でも霧舎の方が思う所があったらしいな」
氷川「…霧舎君の方から?でも、僕にはどちらかと言えば彼の方が…」
乾「ああ、自分から切り出したにしちゃ、しんどそうな顔してたよ。で、石崎と俺でやけ酒につきあったんだよな」
そこで一旦言葉を切って、乾はうーんと唸った。

乾「で、そこで霧舎の奴が言ってたんだけど…『舞城と石崎の言葉で僕は気づいたんだ』って」
氷川「…どういう意味ですか?」
乾「さあ。あいつかなり飲んでたからなあ…でも、どうも舞城と石崎が原因で別れたっぽいんだよ」
氷川「あの二人が何か妙な事を霧舎君に吹き込んだとか?」
乾「そこなんだよなあ…ニュアンス的には『あの二人の所為で』と言うより『あの二人のお陰で』っていうか…
  吹っ切れたんだとか色々言ってたから、原因と言うよりはキッカケの方が正しいかもな」

158 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/18 00:03

氷川「想像出来ませんね。舞城君はそんなアドバイスめいたことを積極的に
   言う性格じゃないし、石崎さんは冗談なら言うでしょうけど…」
乾「だろ?でもそれ以上のことは訊けなかったからな。…で、霧舎がそれを
  舞城に言ったのかもしれない。
  何でかわからないけど、霧舎、『舞城にも言わないと』つってたからさ。
  何を言いたかったのか知らないけど」
氷川「それで、それを聞いて負い目を感じた舞城君が、石崎さん共々高里さんに
   食事を奢る、と
   ……釈然としませんねえ…」
乾「うーん…確かに、舞城ってそんな殊勝な奴じゃないけどな…
  でも妙に筋を通す奴でもあるし…」
氷川「ああ、山荘のときもそんな感じではありましたね」

氷川「でも、石崎さんは分かってなかったみたいですよ?さっきも助けを
   求めてたじゃないですか」
乾「あいつ多分覚えてないんだよ。霧舎と同じぐらい飲んでたから」
呆れたように言う乾。
乾「霧舎がその話をしたときも『よく気が付いたーおじさんは嬉しいぞー
  感動した!』って、騒いでたからな」
氷川「………」


ちなみに参照>>3スレ548-551

172 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/18 21:52

高里は、石崎と舞城と一緒に食堂にいた。二人が食事を奢ってくれるというのだ。
石崎は少し前まで抵抗していたが、今は諦めたのか大人しく座っている。

ちなみに食堂とは言っても、メフィスト学園の食堂はそこらへんの学食とはひと味違う。
日替り定食は勿論、トンカツやご飯抜きキムチ丼から自衛隊用缶詰、アルコール類まで、何でもあるのだ。
よって、それ相応の料理を頼めばそれなりのお値段になる。まあ、日頃からそんなものを食べるのは先生クラスだが。

高里「……本当にご馳走になって良いの?…石崎くんは」
舞城「どうぞどうぞ。何でもお好きなものをお食べ下さい、お嬢様」
石崎「あ、でもあんまり高いのはやめ…ぐっ……あー…遠慮しないでもいいぞ。
   西澤監修家庭料理のセットでも京極薬石御前でも笠井太鼓判のフルコースでも何でも…」
慇懃無礼に言う舞城。ぐったりしながらも笑って答える石崎。
結局、高里は日替わり定食とデザートをご馳走になることにした。

高里は考えていた。自分は何でこの二人に食事をご馳走になっているのだろう。
やはり、気を遣われているのだろうか。舞城は言わずもがなだし、さっきの乾の態度からして石崎もおそらく知っている。
だから石崎も、必要以上にごねたりしなかったのだろう。
二人とも霧舎のことに関しては特に何も言わない。別に慰めるような言葉も出てこない。
普通にご飯を食べて、普通に談笑している。

自分だって、別にあれから四六時中落ち込んでいるわけではない。ちゃんと納得したのだから、もう割り切っている…筈だ。
しかし、時折霧舎の顔が頭をかすめる。その度に、寂しいのか悲しいのかそれとも悔しいのかよく分からない気持ちになる。
そして訳もわからないまま、泣き出してしまいそうになるのだ。

トンカツ定食
173 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/18 21:54

目の前の二人は、とりとめのない話をしていた。
最近森が珍しくラジオを聴いているが何故だとか、古処隊の新名称募集の豪華特典は何だろうとか、 メフィスト学園探偵クラブ略してMDCがあるとしたら各人の推理名称は何かとか、今時の女子高生語とか、新入生の生垣はやはりフィルムマニアなのかとか、集英スクールの乙一が頭を坊主にした噂とか、そんな他愛のない話。

しかし、その何でもない平和な光景を見て、ふと視界が霞んだ。高里は慌てて俯いて眼鏡を外すと、二人にバレないようにそっと涙をぬぐう。
高里(何だか、スキーに行ってから涙もろくなっちゃったかな…)

舞城「高里」
高里「…あ、ごめんなさい、何?」
舞城「ほれ、あーん」
ふと名前を呼ばれて顔をあげると、目の前に何かが差し出されていた。
眼鏡がないので良く見えないが、あまりに至近距離に『それ』があったために、反射的に口に入れる。

次の瞬間、口と喉に焼け付くような痛みが走った。
高里「!!?」

高里は何度も激しく咳き込んだ。舞城がげらげら笑っているのが聞こえた。
石崎「おいおいおいおい、素直に食べるなよ高里…ほれ水だぞ水」
心配そうな口調ながら、石崎も半分笑っているようだ。
高里「…ゲホッ………何?今の何……辛ぁ……ちょっと…もう!何なの?」
受け取った水を飲み干しても、喉の痛みはすぐには取れそうになかった。

なみだぐむしーちゃん
174 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/18 21:55

舞城は尚も可笑しそうに笑っている。彼が食べていたのはペペロンチーノ、石崎はビビンバ丼。
高里「……良く見えなかったけど…何?赤唐辛子?それともキムチ?」
舞城「おお、冴えておられますねお嬢様。両方正解でございます……正確に言えば白菜キムチのキムチソース赤唐辛子和え。
   いやー、まさかマジで食うとは思わんかったけど(げらげら)」
石崎「笑いすぎだぞ、舞城…さすがにキムチソースは余計だったんじゃないか?あはは、大丈夫か?」
高里「もう…石崎くんだって笑ってるじゃない…二人ともひどい」
石崎「何を言う。そこのタバスコまでかけられるところを、俺が阻止してやったんだぞ。感謝しこそすれ……
   いや、悪い悪い、ホント大丈夫か?…おい舞城、見ろ、高里泣いちゃってるじゃないか」
高里「………あ…」
しかし、舞城は特に態度を改めようともしない。まだ笑っている。

舞城「ほー、そんなに辛かったんか?ほんなら石崎、おめえも食ってみれや」
石崎「何で自分の金でそんなもの食べないといけないだ!ていうか、勝手に他人の丼の具を取るな!」
舞城「いつもなら率先してやるじゃねえか。ここで面白いリアクションすれば大爆笑必至やぞ」
石崎「俺は芸人じゃないぞ。それに舞城に爆笑されても嬉しくも何ともない!女子高生ならともかく」
舞城「おめえ、何気に突っ込みに回っとるな。俺は別にボケてねえで」
石崎「ボケじゃなくて理不尽なだけだろうが!大体、お前はすぐ殴るのが…」

二人がぎゃあぎゃあ騒いでいるのを見て高里は笑った。まだ喉の奥がヒリヒリして、左目に涙も残っていたが。

175 名前: 名無しのオプ 投稿日: 03/02/18 23:26
もともと舞城贔屓だけど、このスレのおかげで惚れそうだ…

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